温泉の泉質は10種類!それぞれの泉質について解説

「温泉旅行」という言葉があるほど、わたしたちにとって身近な存在である温泉。温泉につかれば心身ともにリフレッシュでき、明日への活力がみなぎってくるのではないでしょうか。

このようなリフレッシュ効果だけでなく、さまざまな効能や効果が期待できる温泉は、10種類の泉質に分類されていることをご存じでしたか。

この記事では、10種類ある温泉の泉質についてご紹介します。それぞれの特徴を知って、自分の体質や目的に合った温泉を選んでみてください。

そもそも温泉とは何か

一般的に温泉と呼ばれるものは「温泉法」で以下のように定められています。

  • 地中から湧出する温水や鉱水、水蒸気であること
  • 摂氏25℃以上の温度があること
  • 特定の成分が一定以上含まれていること

日本各地にある温泉は、温泉水に含まれる化学成分の種類とその含有量、温度によって10種類の泉質に分けられています。

療養泉とは

温泉のなかでも、特に療養を目的とした温泉は「療養泉」と呼ばれます。この療養泉には、必ず10種類に分類されたいずれかの泉質名がつけられているのです。

療養泉の基準に満たない温泉には泉質名がありません。泉質名のない温泉は「温泉法上の温泉」「温泉法第二条に該当する温泉」と呼ばれます。

泉質にはそれぞれ適応症がある

療養泉には、泉質ごとの「適応症」があり、すべての泉質に共通する「一般的適応症」と、泉質によって異なる「泉質別適応症」があります。いわゆる温泉の効能・効果です。

一般的適応症は、疲労回復、健康増進、筋肉・関節の慢性的な痛み・こわばり、冷え性、ストレスによる諸症状など。

温泉に入ると体が温まったり、疲れがとれたりするのは、温泉の一般的な効果のひとつといえるでしょう。

泉質別適応症は、それぞれの泉質の特徴とともに詳しく解説します。

温泉の泉質は10種類

療養泉と呼ばれる温泉のみに泉質名がつけられていましたが、それらの泉質について詳しく見ていきましょう。

単純温泉

日本で最も多い泉質であり、温泉水1kg中に含まれる成分(ガス成分を除く)が1,000mg未満、温度が25℃以上のものが単純温泉です。

無色透明で無臭のお湯は、肌当たりもやわらかく刺激も少ないため、赤ちゃんやお年寄りの方にもおすすめ。

単純温泉のなかでも、pH8.5以上あるものはアルカリ性単純温泉といい「美人の湯」として知られています。

泉質別適応症はありませんが、自律神経不安定症、不眠症、うつ状態などに効能を発揮。

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塩化物泉

単純温泉の次に多い泉質が、塩化物泉です。主成分が塩化物イオンの無色透明な温泉です。

皮膚に付着した塩分が汗の蒸発を防ぎ、湯冷めしにくいことから、別名「熱の湯」とも。保温効果のほかにも循環効果があります。

泉質別適応症は、きりきず、抹消循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚の乾燥など。

飲用で萎縮性胃炎や便秘の改善が期待できます。

炭酸水素塩泉

「美人の湯」ともいわれる炭酸水素塩泉は、主成分が炭酸水素イオンの無色透明な温泉です。

皮膚の角質を柔らかくし、肌をなめらかにするため美肌効果が高い泉質です。

泉質別適応症は、きりきず、末梢循環障害、冷え性、皮膚の乾燥などがあります。

飲用の効果としては、胃十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、糖尿病、高尿酸血症(痛風)など。

硫酸塩泉

硫酸塩泉は、含有成分により「ナトリウム硫酸塩泉」「カルシウム硫酸塩泉」「マグネシウム硫酸塩泉」の3つに分けられます。

無色透明ですが、飲むと苦みのある温泉です。

硫酸塩泉も「美人の湯」といわれ、保湿効果や傷の修復作用があります。

泉質別適応症は、きりきず、抹消循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚の乾燥、動脈硬化症、高血圧症など。

飲用すれば、胆道系機能障害、高コレステロール血症、便秘に改善効果あり。

二酸化炭素泉

二酸化炭素泉は、入浴すると小さな気泡が体に付着することから「泡の湯」「ラムネ温泉」とも呼ばれる温泉です。

皮膚から吸収された炭酸ガスが血液の循環をよくし、低温でも芯から温まります。

泉質別適応症は、きりきず、抹消循環障害、冷え性、自律神経不安定症などで、

飲用すれば胃腸機能低下を改善します。

含鉄泉

鉄分を多く含む含鉄泉は、国内では希少な泉質のひとつです。

無色透明のお湯ですが、空気に触れると酸化し茶褐色に変化することから、別名「赤湯」とも呼ばれることも。

また古くから「婦人の湯」とも呼ばれてきた含鉄泉は、月経障害や更年期障害など女性特有の症状に効果があります。

泉質別適応症は、リウマチ性疾患、更年期障害、子宮発育不全、慢性湿疹、苔癬など。

飲用で鉄欠乏性貧血の改善に効果を発揮します。

酸性泉

酸性泉は、文字通り酸性度が高い温泉です。殺菌力が高く、慢性の皮膚病に効果を発揮することから「皮膚病の湯」ともいわれます。刺激が強い泉質でもあるため、肌の弱い方は入浴後にシャワーで温泉成分を洗い流しましょう。

泉質別適応症は、アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、表皮化膿症、糖尿病、水虫などです。

含よう素泉

非火山性の温泉に多くみられる含よう素泉は、2014年に追加された新しい泉質です。

においや、時間が経つと黄色く変色するお湯は、まるでうがい薬のよう。その名のとおり「よう素」が含まれているため、高い殺菌効果が期待できます。

泉質別適応症は高コレステロール血症で、飲用することでコレステロール値を下げます。

よう素は甲状腺ホルモンの主要な成分であるため、甲状腺機能亢進症の方は飲用は控えましょう。

硫黄泉

硫黄泉は、硫黄型と硫化水素型に分類され、火山大国の日本では比較的多い泉質です。

卵が腐ったような特有のにおいは硫化水素によるもの。においが洋服につくと簡単にはとれません。

殺菌効果が高く、表皮の細菌やアトピーなどの原因物質を取り除きます。

泉質別適応症は、アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、慢性湿疹、表皮化膿症などで、皮膚疾患に効果あり。

また飲用すれば、糖尿病、高コレステロール血症に効果を発揮します。

放射能泉

放射能泉は、温泉水にラドンが含まれた温泉です。一般的には「ラジウム温泉」と呼ばれています。

微量の放射能は体によいことがわかっており、さまざまな不調を改善することから「万病の湯」ともいわれています。

泉質別適応症は、高尿酸血症(痛風)、関節リウマチ、強直性脊椎炎など。

泉質の種類を知って体質や目的に合った温泉を選んでみよう

日本には、さまざまな泉質をもった温泉がたくさんあります。「湯治」という言葉があるように、日本人は昔から治療や療養を目的として温泉を活用してきました。

それぞれの泉質の特徴を知れば、温泉をより活用できるでしょう。

この記事を参考に、ぜひ自分に合った温泉を選んでみてください!

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この記事を書いた人

しおん
しおん
夢は弾丸トラベラーのWebライターです。タイとネコと牛が大好きです。

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